作業療法士と病院

意外と多い「出戻り」精神科作業療法士

また、90年代のような好景気感は無いとはいえ、年齢を重ねてからの再就職がしやすい点も、精神科作業療法士のよいところである。

実際私の知っている限りで、40代~60代で再就職した精神科作業療法士が何人もいる。いずれも女性だが、子育てが落ち着いた主婦だったり、離婚して自分だけの新しい人生を生き始めた人だったり。

結婚、出産、子育て、子育て終了、離婚。さまざまな生き方があるけれど、普通に生きていても女性の人生は転機に満ちている。作業療法士の資格は、そんな転機を乗り越えながら上手に働いていける資格ともいえる。

あまりにブランクがあいていると、即戦力を求める施設での就職は難しいかもしれないが、腐っても国家資格。情報が古くなっているから、当然ある程度自分の頭の中を「更新」しなければならないが、そのための勉強・努力を惜しまなければ大丈夫だ。

その取り戻しのための勉強に関しても、個人的には身障系より精神科分野の方がとっつきやすい気がする。疾患名の呼称が変わっていたり、新薬がたくさん出ていたりして知識・技術両面において更新を要するが、技術面については医学書を読み込んで記憶するより、現場に出て感覚で取り戻す要素が大きい。

ざっくり言ってしまうと、身障系が理系、精神科が文系というカンジだろうか。だから多くの女性にとってとっつきやすい感があるのかもしれない。

同期の作業療法士で、私が最初の病院を辞めたとき、ほぼ同時に他の精神科を辞めたヤツがいる。

辞めた数年後に再開したときに一緒に飲みに行ったのだが、彼女は宝石店に勤めていた。営業成績もよく、身に着けている物を見ただけで結構稼いでいる様子が感じられた。お互いに、まったく異分野への転身。

私はライターの道を選んでいてそのことに満足していたし、彼女も精神科作業療法士より宝石を売っている方がよほどしっくりきているように見えた。

「あんな地味な世界、戻んないよねえ」
「ねえ」
「暗いし、面白くないしね」
「昇給なんてたかが知れてるしね」

しかーし。私がまだライターをやっているうちに、彼女は裏切って精神科作業療法士に戻ったのである。

理由のすべては知らない。不況で、宝石店が次々とダメになっていたせいもあるのかもしれない。同窓会で顔を合わせたときも彼女は、多くは語らずちょっとバツが悪そうに笑っていた。

彼女ほどの営業センスがあれば、別に宝石以外の物を売ってもやっていける気がするのだが…

復帰したくなるほどの魅力がある。また、ブランクがあっても復帰しやすい。精神科の世界には、いろんな意味で中毒性があると私は確信している。

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