作業療法士と病院

同僚もドクターもちょっとヘン…変わり者が多い業界

ところで、H大を卒業後、何度か同窓会が開かれた。

作業療法学科のみんなはもちろん、お隣の理学療法学科のみんなも揃う。時には大広間を貸し切り、お酒を飲んだり温泉に入ったり。何人かは子連れだったり、意外な人が出世していたりしてサプライズがたくさんあり、同窓会はやっぱり楽しい。

ある時の同窓会で、畳にゴロリとくつろぎながらみんなを眺め、勝手に小グループに分類してみた。

* あの人は普通の人。
* あの子はちょっと変わった人。
* 彼も変わった人。
* で、こっちは常識的な人…

そう、勝手に「チーム普通の人」と「チームヘンな人」に分けてみたのである。すると、「チームヘンな人」は恐ろしいことに、全員精神科の作業療法士だった。

この傾向は、現場でも結構同じであることが多いと思う。同じ精神科作業療法士に聞いても、みな納得するのである。「そうそう、精神科作業療法士って変なヤツ多いよね。まあ、自分もなんだけどね」という反応が圧倒的に多いのだ。

どういう風に「ヘン」か。

はたから見ればしっかり者で賢そうなタイプが多いのだけれど、思いもよらぬところが1本抜けていたり、フタを開けてみると結構イタい不思議ちゃんだったりするのである。

たとえば私の同期には、学生時代の卒業アルバムに「将来の夢:妖精」と書いた人がいた。みんな「患者さんの立場で考えられる作業療法士になること」とか「大学に戻って研究と学生指導に打ち込むこと」とか、書いてるのに…。

まさかH大に入ってまで妖精目指してるとは、アルバムを見てご両親もたまげたことであろう。しかし、とても良い人だった。と思うのは、私も変わり者だからだろうか??

また、Y病院に勤めていた頃、実習に来た学生さんたちを見ていても「やっぱ精神科作業療法士変わってるわ…」とつくづく実感させられることが多かった。

履歴書の「特技」の欄に「勝海舟」と書いてくる男子。

実習中、手の甲にメモをとるものだから…しかもなぜか油性ペンで書くものだから、ややしばらくメモした字が消えない男子。しかも「○○さん失恋をきっかけに発症」とか、

思いっきり個人情報だし。

施錠扉の開け閉めのとき、妙に上品な動きでモタつく女子。なんかやたらヒラリヒラリと身をひるがえし、その間に患者さんが脱走したら困るからやめなさい、と注意したら、「すみません、正しい襖の開け方と畳のまたぎ方に凝ってまして」。ここ和室じゃねえし。

同じく和の立ち振る舞いに凝ってる女子。ケーシー着てるのに、着物着てる人独特の、小股でサササササと歩く歩き方をつらぬく。忍者みたいだからやめなさい、と注意するも言うこと聞かず、患者さんとバレーボールしてるときに案の定集中砲火を浴びてケガをする。

いろいろ挙げたらキリがない。中にはノーマルな学生さんもいるが、たいていはちょっと不思議な子だったり、一見普通の子でも飲み会に連れてったら急に豹変したり、とにかくみんな変わってるのである。

作業療法士に限らず、精神科で働くスタッフは少し変わっているといってもいいかもしれない。なぜだろう??

人の心の、病んだ部分に興味を示す。

その治療に関わりたいと思う。

この時点で、もう変わっているのかもしれない。普通の子が、わざわざそんな面倒なものに関わりたいと思うだろうか??もっと楽しくて、明るくて、先進的で、ファッショナブルで、儲かりそうな仕事だってあるにはあるのに、そちらを目指さず心の病気の方に向かっていくのである。

変わっているくらいでないと、もたないのかもしれない。要するにみんなちょっと、マニアックなのだ。

心マニア。

心マニアでない人間がどうして、様々な病んだ心理に飛び込んで分析し、治療プログラムを立てたり、何度も評価したりできるだろうか。

礼儀や誠実さなど、基本的な人格を問われるようではダメである。でも、ちょっと変わったマニアックな一面を持つ人こそ、精神科作業療法士など、心の病に向き合う仕事に適性があるのかもしれない。

ちなみにもともとこの業界は、同業者同士で結婚するパターンが少なくないのだが、女性の作業療法士なんかは理学療法士狙いであることが多い。

理由は、精神科作業療法士はヘンな男子が多いから(失礼!!)。…まあ、かく言う自分たちも「チームヘンな人」所属なんですけどね。

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