作業療法士と病院

総仕上げは「長期実習」

さて、H大医療短期大学部に入学して数ヵ月。やっとこ「精神科作業療法士になるのだ」という具体的な目標を抱き始めた私は、本格的な実習に入る2年目の春くらいには、ぼちぼち真面目に精神科について情報収集をするようになった。

家族・親戚・友人の中に、精神疾患にかかっている人は、たまたま居なかった。「うつ病」や当時の「精神分裂病」(2002年以降は統合失調症に改称)という言葉くらいは聞いたことがあったが、授業で学ぶ様々な精神疾患の実態は複雑さを極め、念願の独り暮らしを満喫する浮ついた脳ミソはなかなか授業についていけない。

仲良くなった(友だちか?)先生の教官室に入り浸り、蔵書を読ませてもらったり、時には図書館で資料をあさったり、先生に薦められて、映画『レナードの朝』など、精神疾患に関連する作品を鑑賞したりして、なんとか精神科作業療法士に近づこうと自分なりの努力はしていた。

高校の同級生Sちゃんが言っていた「芸術やスポーツを通した治療」という、そこはかとなく美しい響きを胸に、のんきな学生生活を送っていた私だが、様々な文献や映画などから情報収集をするにつけ

「精神科ってコレ、結構ヘヴィなんでないの?」

と、ようやく薄々感じ始めていた。

そんな私が、ついに泣かされる日が来た。3年生のカリキュラム、長期実習。医療機関に2ヶ月近く出向き、現場の仕事をアタマのみならず、体で覚えるのである。

この時点で学生はなんとなく自分の進路を決め、それに関連する実習先を希望する。必ずしも希望どおりの実習先に行けるとは限らないが、作業療法士の場合は、

* 身障(外傷や先天性疾患の患者さんの上肢の機能訓練、日常生活動作訓練などが主体)

* 小児(脳性麻痺や外傷による肢体不自由児、精神発達遅滞の子どもなど、心身両面のリハビリに当たる)

* 老人(加齢による運動機能の低下や、認知症の高齢者へのリハビリ)

* そして、精神科

の、いずれかから実習先を選択する。

私は精神科の実習先として札幌市内のデイケアセンターを選択した。もう1つは地元釧路の大きな病院のリハビリテーション科。これは身障系である。

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長期実習・身障編~私がブッ倒れた理由~